作例:

浄土真宗のお墓 笠塔婆

施主 浄土真宗 建墓 平成14年8月 笠塔婆
親鸞 閉眼せば 賀茂川に入れて 魚に  与うべし
親鸞聖人(1173〜1263)のお言葉です。このあまりに有名な開祖の言葉の為か、浄土真宗は八百年の歴史の中、墓守にあまり重きを置いておりません。我々墓屋にとっては因果でありますが、真宗の墓建ては、仏教の他派とは大きく違っているようです。
親鸞聖人への信仰心のもと、お言葉を守り、真宗の僧侶は、墓は建てないのが良いと考える方もおられたでしょう。しかし、現実はそうはなりませんでした。二世如信も覚信尼(親鸞の末娘)も、親鸞さまご遺体を賀茂川に流せず、東山鳥辺野の延仁寺で荼毘に付されました。残された方々は、親鸞さまのお言葉のままに、大切な人を川に流すことは出来ませんでした。三世覚如上人(真宗を立教・実質的開祖)は、『改邪鈔』の中で注釈し、肉体(物質)は軽んじても、仏法の信心(心)を重んじなさいと、親鸞さまの教えを分かり易く解説されております。
私は、親鸞聖人の教えに背くつもりなど全くありませんが、墓屋として、亡くなった家族と、子孫のために、墓と墓守は必要だと考えております。建てるか建てないか、石種や形に拘ること自体が、既に物質的なことに囚われていると理解していますが、他力本願の信仰に超越する事は並大抵ではありません。超越出来ない我々には、ささやかでも、それぞれが納得できる墓を建て、故き人への想いを大切にしてゆく事は、許されるのではないかと考えています。

・南無阿弥陀佛(隷書:チッパー彫り)

・建之年月は後部の法名板の左側最後に彫刻

・宝珠(角ホゾ:凹)

【浄土真宗のお墓】(大島石材 規定)

・分 骨本山に分骨を勧めます
・文 字① 南無阿弥陀佛 「阿弥陀様へ帰依します(全てお任せします)」
② 倶会一処 『仏説阿弥陀経』に出てくる「倶(とも) に一つの処(ところ・極楽浄土)で会う」
・建之文字年月に、吉日の文字は刻まない
正面文字が、南無阿弥陀佛の場合、竿石(仏石)には刻まない
・法名板霊標とは刻まない(浄土真宗では、霊とはまだ迷える存在で、極楽浄土に行けていない存在と考えます)
・水子地蔵水子供養はしない
・五輪塔塔は建てない
・仏 種梵字などは刻まない
建墓
平成14年8月
所在地
愛媛県今治市
墓地形態
市営墓地
墓所の広さ
間口2.0m 奥行2.0m
石塔
笠塔婆
石塔大きさ
8寸
石塔仕上げ
ビシャン叩き
石種
大島石善 青
外柵
ビシャン叩仕上げ
頭梁
小田 満弘
石塔製作
矢野 雄嗣
大島石検品
村上 勉
施工
竹田 鉄男

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